ぶーちゃんばあばと水沢観音(1)

出典:https://trip.hiwadasan.com/

完全に同一の生活圏であるが、線引きとしてはお隣の群馬県。ぶーちゃんばあばの家からは、最短コースなら車で15分も走れば県境である。山や自然、温泉も豊富な北関東の雄といえる。

それ故、何を隠そう私も群馬の温泉にはしょっちゅうお世話になっている。有名どころで言えば伊香保温泉がお気に入りで、あの石段を上っているだけで小旅行気分になれるのが◎である。

ある日、実家の小屋で作業をしていると、含み笑いを噛み殺しながらぶーちゃんばあばが近づいて来た。この表情、やや面倒くさい頼みごとをする時のお約束だと知る私は、咄嗟に拒否るための心構えを整えて迎える。

ぶーちゃんばあばは、既に否決に採択されたとも知らずこちらの様子をうかがって話しかけて来る。

ばあば:なぁ2号。今日は忙しいん?

2号:忙しい(遊びたいから!)なんで?

ばあば:忙しかったらいいんだよ。悪ぃから・・(2号:だから、何さ?)ほれ、天気が良いから水沢観音でも行きたいんねー・・って話してたんさ。うどんでも食って、日帰り温泉でも入って来るのもたまにはいいかねぇって。2-1号も温泉好きだんべ?

2号:無理!以上。

出典:https://trip.hiwadasan.com/

否定されたばあばは、テクテクと母屋の方に歩いていく。
しまった・・・野良仕事の依頼と思っていた予想を裏切られた上にあまりにもばあばに都合の良いプランを聞かされた為、考えてた以上の瞬殺で全否定する羽目になってしまった。

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水沢観音に行くよ

しかも、その対応とばあばの後ろ姿に流石に冷たすぎたかと罪悪感が芽生えてしまう。その後、約5分に渡る葛藤を経てばあばの希望を叶えることを決めた私は、直後に再度後悔する事になる。

ばあばの希望を受諾すると決めた際の私の実行計画はこうだ。
じーじとばあばの家から、高速を使えば伊香保温泉も往復で1.5時間程度。ばあばが相談に来た時間は午前10時前。

更に、今日が日曜日で有る事を口実に「水沢うどんは混むから温泉街で簡単に何か食えばいーんじゃね?」と移動中に言いくるめ、温泉は公衆浴場を使えば水沢観音にお参りしても2時間半の滞在で余裕だろうと。即行動に移す事で順調にいけば午後1時30分には帰宅が可能だという試算から、しゃーないここは折れておこう・・と考えたのだ。

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2号:水沢観音行って飯食って帰ってくんのね?温泉はどこでも良いんでしょ?連れて行くから用意しなー。

ばあば:大丈夫なんかい?温泉なら変わらねぇんだから、どこでもいいんさ。

2号:はいはい。だから直ぐ支度整えなって。その代りガソリン代と高速代はそっち持ちね。

経費負担を要求する事で貸し借りナシとしてお互い気持ちを軽くたつもりの私。
だが次の瞬間、私の目のばあばは想像だにしない行動に出た。

ばあば:あ、ねーちゃんかい?2号が水沢観音連れてってくれるんみてーよ!迎えに行くから用意しないね。

テンション高目で姉に電話しているぶーちゃんばあば。
本日2度目の失敗である。確かに、”行きたいんねーって話してたんさ”とばあばは言っていた。

さして気に留めていなかったが、まさか相手が姉ばあばだったとは考えずにいた自分の甘さを呪う。同時に先ほどの弾丸ツアー予定も破棄せざるを得ないと自分に言い聞かせる事となった。

ところがである。私と一緒にぶーちゃんばあばの家に遊びに来ていた愚息2-1号は「えー・・・俺も行かなきゃダメ?」と意気消沈の私に挑んでくる。

おい、お前はお出掛け=ゲームする時間が無くなるっていう事実を受け入れたくないってことね?おとーちゃん怒っちゃうよ?

その後、強引に自身の心の切替を済ませた私は、急ぎ洗車を実行しホクホク顔のばあばと優しく私に諭されて一切口を開かなくなった2-1号を愛車に乗せて、ばあば姉を回収して水沢観音に向かったのである。