自動車のDIY板金作業は『実際にやってみると案外それなりに仕上がるものだな』と思う人も多いはず。
そして、凹みさえ直せばDIYのスプレー塗装って余裕じゃね?
そう考える人も(まさに過去の自分w)。
確かに、小さな補修なら賛同しますしお勧めです。500円玉程度の擦り傷に10,000円も掛けられないですもんね(笑)。しかし、DIYの板金塗装を経験してみると最も後悔する可能性が高いのも塗装だと考えるようになりました。
初めてのDIY板金塗装!自動車を綺麗に仕上げるための手順とポイント
板金作業が手先の器用な人ならそれなりに対応可能なのに対して、車の塗装を綺麗に仕上げるには確実な技術と経験が求められます。
なぜなら、塗装後は補正が難しい上、鏡面仕上げレベルが必要になるからです。
そもそも目立たない小さな面積の補修であればこの限りではありませんが、広範囲の面積を塗装するのは思っている以上に難易度が高いんです。
更に、塗装を失敗すれば一目で素人補修だと分かる状態となり、DIYの板金塗装作業そのものを後悔する事にもなりかねません。
DIYで自動車の塗装手順
初めて板金塗装にチャレンジすると聞くと一番心配になるのは塗装経験の量と質です。その違いが最も顕著に表れるのが塗装工程だと自分の失敗経験から確信している2号。
ざっくりと工程を分解して手順を解説すると以下のようになります。
塗装工程の実際の手順
- 下地作り
ペーパーで表面のキズの除去と塗料の定着を上げるための下地を作る工程。 - マスキング
塗装面以外の部分に塗料が付かないように隠すマスキング作業をします。 - 塗装
実際の塗料(ベースカラー)を吹き付けていく工程です。各種スプレーで行います。 - クリア塗装
着色を終えた車両に艶を与えるクリアを上塗りします。 - 仕上げ磨き
クリアが完全に硬化したらペーパーで表面を整え、コンパウンド等で磨き上げます。
素人がDIYで自動車の塗装をする場合どこで妥協するかが重要です。
塗装の各工程共はリカバリーが難しい難関ばかりなのです。それぞれの工程を2号自身が実践した時の失敗やポイントも取り上げながら解説してみたいと思います。
DIY板金塗装:ボディー塗装の準備
板金を終えたら本格的に塗装の準備を行います。しかし、塗装する場所や程度によって行う準備にも違いがあります。
- 下地作り研磨
塗装する面をサンドペーパーや耐水ペーパーで適切な状態まで磨き、しっかりと下地作りをして塗装する必要があります。これは、スプレーガン・缶スプレー問わず丁寧に行います。 - エンブレム等の取り外しとマスキング
車体に張り付けられているエンブレムや装飾部品等も時として事前の対応が必要になります。そして、その方法はマスキングで隠す場合から一時的に取り外す対応まで状況によって見極めます。 - 脱脂
シリコンオフといわれる有機溶剤の一種で行う工程。塗装の直前作業です。こちらの工程も軽く見られることが多いですが、脱脂工程を省略すると塗装の乗りや密着度に影響が出る原因になります。 - 塗装環境の準備
DIY塗装前提ですからなにも塗装ブースとは言いません。しかし、それなりに広い面積の塗装を行うのであれば終了まで時間もかかります。埃や天候の影響を受けにくい環境を探して作業する事をお勧めします。
DIY 自動車塗装の下地作り
下地作りが難しいと思う理由の一つは、どのレベルが完成なのか判断が難しいからだと思います。
メイン作業は、何段階にも分けてのペーパー掛けになるかと思いますが、3000番の耐水ペーパーを使った事のある人は多くないと思います。木工のDIYなら細かくても800番くらいまでではないでしょうか。
そのため、240~3000番まで使い分ける板金塗装のペーパー掛けに対して、どの程度が妥当なのか想像も出来ない部分があると思います。
DIY塗装前の下地作り工程
- 板金・パテ研ぎが終わった個所を300又は400番のペーパーを掛けて目消しします
- 更に600番、800番と番手を上げながらペーパー掛けの細かなキズの目消し
※最低でも800番以降は耐水ペーパーで水研ぎで使用するのが前提です - シリコンオフで拭き取った後、塗装面にプラサフを吹き付けて硬化させます
- プラサフを吹いた面を800番からペーパー掛けし、1000(1500)と上げます。
- 1500、2000、3000番と番手を上げ磨いたら下地の仕上がりです
※プラサフを吹いた面以外も、塗料(クリア含め)を吹く面には「足付け」と言われるペーパー掛けが必要です。上記の工程であれば5工程目からは塗料が乗る面全体を磨きます。手抜きの2号は、地金が見えている部分以外は足付けはしてもプラサフを吹く事はしませんでした。
ペーパーの番手を変えるタイミングが難しいかも知れませんが、基本的には研磨している面の表面がほぼ均一になったら次の番手に移っていくようにします。
例えば、240番程度のペーパーで付いた筋は、800番のペーパーではなかなか消すことが出来ません。そこで400番、600番と番手を上げて全体を均一に削り取っていくわけです。240番や400番程度の低番手のペーパーは「磨く(みがく)」のではなく、汚れや傷を擦り落とすという感覚。ですので、必要以上に長時間低番手のペーパー掛けを掛ける事は避けます。
800番以降のペーパー掛けは、耐水ペーパーを使った水研ぎ作業となります。水を加えながらペーパーを掛ける事で滑らかに研ぐことが出来る事に加え、ペーパーの研削面が詰まる事を防いでくれます。
最終的には3000番の耐水ペーパーまでを塗料が乗る面全体に丁寧に掛けると表面に傷が無い全体が薄っすらとくすんだ艶消しの状態に仕上がるはずです。これで塗装前の下地作りが完了です。
板金屋さんとの話
初めて2号が広範囲のスプレー塗装を行った時の事。結果としては、見事に失敗したのですが、その後知り合いの板金屋さんと話をした際に失敗談を伝えると必ず言われたのがこれ。『それって、多分下地から失敗してるよねw』と。確かに振り返ってみれば、特に塗装面の磨きが荒く、雑な状態がダイレクトに仕上がりに影響しているようでした。
下地作り…その前に
車の塗装に欠かせない物の一つにマスキングがあります。非塗装面を保護する為にマスキングテープを貼る行為ですが、それとは逆にエンブレムやパーツを外す必要がある場合もありますよね。
エンブレムの外し方
車のエンブレムは殆どの場合で、強力な両面テープによって張り付けられていますので、熱を加える事で取り外すことが可能な訳です。この時に重宝するのがヒートガン。600度にもなる温風を吹き付ける事が出来る超強力なドライヤーといった感じです。
エンブレムを温めながら、タコ糸等を隙間に通して少しづつ動かすと比較的簡単に剥がす事が可能です。熱しすぎると樹脂パーツの変形に繋がりますので熱の与え方は注意が必要です。
ちなみに、外したエンブレムは再度同じ場所に貼り付けると思いますので、最初に位置を記録しておく必要があります。プレスラインや端面の位置等を基準にしてマスキングテープで、型を残すようにして厚く周囲を貼ります。その後、テープを綺麗に剥がし、塗装が終わった後で同じ場に型を貼ればエンブレムの位置がずれる事はありません。
貼ってあったエンブレムが上手く剥がせなかった時は、ネットで買って取り付けるという選択肢もあります。・・小さくても結構高いです(笑)
DIY板金の成功は事前準備から!手順と重要ポイントを解説
DIYで自動車の塗装を実施しようとする人は、ホームセンター等で販売しているスプレー缶を使用される方が多いのかなと思います。
大きな面積の修理なら、やはりプロに依頼するのが普通だと思いますし、綺麗に直したい人はそうすべきです。2号自身も頭ではそう理解しています(笑)。
スプレー缶もガン塗装も一見すると大きな違いは無いように見えますが、作業の利便性は圧倒的にガン塗装に軍配が上がります。
小範囲の補修ではコスト的にスプレー缶の方が都合の良い場合もありますが、範囲が広くなると綺麗に仕上げるのがすごく難しくなります。2号の作業はガン塗装の為、その辺りを参考に見てもらえたらと思います。
自動車のDIY塗装工程
- 下地作りを終えた塗装面をシリコンオフで脱脂する
- ベースカラーを塗装面に捨て吹きして5~10分程度乾燥
- 本塗りを2~3回くらいに分けて吹き付ける
- クリア塗装は本塗り後、5~10分で作業可能
- 捨て吹き+本塗り3回を目安としてクリアを塗装する
はい。文章にするとこれだけですが、実践するとこれが実に難しいと思うのです。
DIY塗装における序盤のハードル『下地作り』を終えると根拠は無くとも『うまくいくんじゃね?』と勘違いする自分がいるので決して油断しないように気を引き締めます。
使用するスプレーガンの種類や機材の癖によって塗料の吹き出し量も違えば、塗料そのものの種類によっても異なるからです。ガン塗装でコンプレッサーを使用するなら、当然その空気圧によっても全く状況が変わってしまう。
ましてDIYでの作業なら、経験で判断できるような知識のある人はごく少数だと思います。
DIY板金塗装:スプレー塗装の前に行うべき事
経験を瞬時に埋める事は出来ませんが、多少なりとも事前に確認・準備する事で失敗の可能性を下げる事は出来るはず。時間に余裕をもって、塗装前に行った事が良い事を考えてみました。
- スプレーガンの調整:ガン塗装の場合、通常はエアー量・塗料の量・パターンの大きさと3種類のつまみがついているのが普通です。それぞれのつまみを調整して、試し吹で適切なパターンを得られるようにします。2号の場合は、WEB等で見た物や自身の体感で下記のイメージで実施しています。空気圧は0.3Mpa(±0.05)を基準としました。
広範囲塗装の場合/縦型の楕円形になったパターンの縦幅が20~25cm程度
小範囲塗装の場合/同様にパターン幅10~15cm程度 - 試し吹き:いきなり車そのものにスプレーを吹き付けるのではなく、別の素材に吹き付けてみる事をお勧めします。
自動車の外装に近い素材に試し吹きして、どの程度の距離からどのくらいの時間吹き付けると塗料が垂れてしまうのか、塗料が広がる範囲はどのくらいか確認します。これは絶対に押えておかなければなりません。 - 塗装面のチェック:シリコンオフを処理する前にチェックしているはずですが、もう一度塗装面を確認します。DIYではガレージや屋外等での作業となる事と思います。塗装ブースのような特殊な環境ではありませんから、埃の付着等は再確認が必要。同時に、マスキング等に剥がれや漏れが無いかもう一度チェックする余裕があると良いですね。
【小休止】DIYでなんちゃって板金塗装ブース
2号が作業をしているのは実家の納屋(笑)。しかし、風や埃などの塗装の天敵が多く以前の塗装では大失敗。そこで養生シートを使ったなんちゃって塗装ブースを設置して作業する事に。サーキュレーターで空気を送りブースが萎むのを回避です。詳しくは下段記事のリンクで!!
DIYで自動車の塗装スタート
塗装する前には車全体または塗装面を洗車します。その後、シリコンオフの塗布を経てベースカラーの捨て吹きへと入っていきます。
シリコンオフは塗装面の油分等を取り除いて塗料との密着度を高める役割がありますので、下地作り時のプラサフ吹き付け前、下地作り後の塗装前の両方で塗装面に行います。
そして、自動車塗装では通常2種類の塗料を使用する事になると思います。自動車のボディそのものの色であるベースカラーと仕上げに使用されるクリア塗料です。どちらも仕上がりの良不良に直結するので気が抜けません。
ベースカラーの吹き付け
スぺレーガンで3回に分けて塗装する事を前提に記載します。
最初に捨て吹きをします。ベースカラーを塗装面全体に薄くなじませるように吹き付けてください。捨て吹きは本塗りの回数にカウントしません。
その後、5分前後で本塗りを開始します。スプレーガンを塗装面から20cm程度の距離に保ち、塗料が面に対して垂直に当たる角度て平行移動させながら吹き付けます。左端からスタートしたらそのまま右端に抜けるまで、同じ場所を何度も戻るような事はしません。
スプレーガンの平行移動速度ですが、吹き付けている場所にシッカリと色が乗りながら垂れない速度が最適なのだろうと思います。しかし、素人DIYでそこまでシビアに求めると失敗のリスクも高くなると言わざるを得ませんので、塗料が垂れる心配をするほど厚く吹こうとせず、不安があれば2回ワンセットと考えて吹き付けるのも方法かと思います。
塗装2回目以降。
先の塗装から5~10分空けて2回目の塗装を行います。塗装の方法は何ら変わりがありませんが、平行移動で塗装していたなら、吹き付けの上下の位置をスプレーのパターン幅に対して半分程度ずらして、最初の吹き付けと半分程度重なるよう吹いていきます。いうまでもありませんが、塗装全体をなるべく均一にしたいからです。
プロの方は2~3回できっちりベースカラーの塗装が完了するそうですが2号にはとても考えられません(笑)。その感覚は理解できますが、吹き終わった後でとても不安に襲われ、ちょい足ししてしまうからです。特に、端面やプレスライン周辺は仕上げで磨く際に攻めすぎて塗装を剥がした経験があるので重ねたくなってしまう部分です。
塗装の厚さと見極め
板金屋さんにも聞いたこともありますが『塗装の見極めは本人にしか出来ないよ』と温かいお言葉を頂きました。確かに塗料の種類・配合・塗装の厚さは一見同じに見えても作業者にしかわからない事だと納得するしかありません。測定器もありますが板金屋さんに出すより高くなる(笑)。
クリア塗装の注意点 手順と失敗事例
2号が使用するのは2液タイプのウレタンクリアでベースカラーと一緒に塗料屋さんからネットで入手しています。DIYのガン塗装だと主流じゃないかと思います。良く見るホームセンターで売っているスプレー缶はアクリル塗料(だったと思います)の為、完全に別物です。
実践!DIYでクリア塗装
ベースカラーの塗装を終えたら、時間を空けて軽く乾燥するのを待ちましょう。ただし、完全乾燥させるとクリアの定着が心配ですので15~20分程度がベターのようです(使用する塗料の種類にもよりますが)。
クリア塗装も作業方法としてはベースカラーの吹き付けと同じ要領で3回程度に分けて塗りますが、透明なので実際にどの程度塗料が乗っているのか分かり難い点が問題です。そして、ベースカラーとは性質が違う場合が多いので、ベースカラーの乾燥待ちの間に可能な限り試し吹きをしてください。
2液ウレタンを使う事が多いというのは、当然メリットがある訳です。それは、耐久性があり発色良く、乾燥後の強度もある事。こう書くと良いことだらけに感じますがデメリットも勿論あります。それは、分量を正確に調合する必要がある事、調合した後の使用可能時間が短い事(当然、調合した後の保管は出来ません)というのが代表的なところ。
決められた分量で混ぜなくては、本来の性質にならないどころかクラックや不完全な乾燥などの問題になりかねません。そして、硬化剤だけでなく薄め液との割合もあるため、調合には細心の注意を払いましょう。
2号のDIYクリア塗装後【磨き前】
クリア3回吹き後の状態がこちら。プロでない以上、特に塗装については妥協が必要だと考えてしまう2号。更に・・・言い訳ですが塗装した日が悪かった。猛暑日を記録した40度近い気温の中、クリア吹き初めにかぶりが発生。
薄め液でクリアの濃度を調整して強引にかぶりを抑えて、ゆず肌になる事を前提で少しでもクリア層を厚く作って磨きに全てを託すというDIYならではの強引な作戦(笑)。さて、磨き後の結果は・・
クリア塗装の失敗事例
クリア塗装がうまくいけば素人DIYとしても80%以上の確率で成功したと言えるでしょう。しかし、DIYに失敗はつきもの。こんな記事を上げている2号は数限りない失敗を経験していると言っても過言ではありません(笑)。以下に代表的なクリア工程での事例を記載しますので、参考になればと思います。
クリア塗装のかぶり(白化現象)
湿度が高い季節の塗装で発生しやすい現象。原因は、塗料中の有機溶剤が気化する際に起こる極小の結露が原因。速乾性の薄め液などを使うと特に発生しやすくなります。広く発生したら諦めるしかありません。発生しそうな傾向がみえたら、塗装面を温めたりクリア塗料の配合(薄め液の濃度等)を調整し直したりすることで大事に至る事を避けられる場合もあります。しかし、完全に塗装面に表れてしまったらやり直す以外に手段はない塗装の天敵。
ゆず肌
塗装面が滑らかにならずデコボコな状態で仕上がってしまう状態。ガンの距離が遠い場合や速乾性の溶剤を使用している場合に起こりやすいらしいです。
スプレーガンから噴出された塗料が塗装面に届く前に固まり始めてしまう等の原因でデコボコした状態に仕上がるトラブル。発生後の対応としては、完全乾燥後に1500~3000番の耐水ペーパーで表面を整えてあげる事となります。
クラック
塗装面のひび割れです。クリアに限らず、ベースカラーの塗装面への定着が不安定であった場合に、乾燥と共に塗料が縮む事で発生します。下地作りをシッカリ行って塗料が塗装面に強く定着していれば発生しないので下地作りの失敗と言えるかも知れません。
更に具体的な失敗事例を見たい方はこちら(笑)
素人DIYの失敗事例は、ほかの人には非常に参考になる事も多い物だと思っています。WEBや動画でプロが丁寧に作業している解説を観ても、同じように作業できない以上は失敗が付き物だと思うのです。
そこで、2号自身が失敗した塗装の様子を画像付きでUPしました。塗装の失敗例がDIYでチャレンジする方の参考になれば幸いです。
DIY塗装:ぼかし処理について
小範囲を塗装する場合に必須になるのがボカシ。
補修箇所から非補修箇所へとつながる境界線部分に処置する作業。素人にとってはこれも難易度高めのテクニック。ベースカラーをしっかりと吹き付けたい補修部分とそこから非補修部分に広がっていく範囲、そしてその上に吹き付けるクリア層。その境界線を極力目立たなくさせるのがボカシです。
2号の脳内イメージではこんな感じ。
実際に使用するのはベースカラーとクリアの2種のみでも、吹き付けている塗装面はそれぞれグラデーションが掛かる範囲があると考えたら4層なのかなって思っています。塗装範囲にプレスラインがある場合、ベースカラーのボカシをプレスラインに合わせるとより目立たなくなります。
ボカシを入れる場合には、全く傷の無いエリアまでクリアーを吹き付け、仕上げに磨く必要があります。そのため、塗装の足付けはイラストのクリア塗装範囲よりやや大きく、クリアーボカシ範囲よりやや小さい状態となるはずです。
そして、塗装完了後にベースカラーの塗装範囲からクリアーボカシ範囲より大きなエリアを磨き上げて何事もなかったかのような状態に仕上げます。・・・難しい(笑)
ボカシ剤
ボカシ剤という塗料(?)があります。調べた事のある人は知っていると思いますが、主成分は薄め液(シンナー)で、製品によってはクリアの成分が少量配合されていたりもします。用途としては、ベースカラーやクリアを吹く前に広めに軽く吹いて塗料の乗りを良くしたり、塗料吹き付け後のざらついた部分を落ち着かせたりするのに使用します。
要は、吹いた塗料を柔らかく(溶かして)なじませるのが役割です。そのため、『ボカシ剤』という名称を過信して、しっかりと吹ききった塗料の上から塗装の境界線を目立たなさせる役割だと考えて使用すると失敗します。本職の方が塗装面と非塗装面の境界をぼかす場合には、薄め液の量を調整して実際の塗料濃度に変化をつけてボカシたりするそうです。
素人の経験によるDIY板金塗装のQ&A
2号自身が実践前に疑問に思っていた事の実践結果をひとりQ&Aのスタイルでお答えします(笑)。あまりWEBで見かける事のない内容があるのは、プロの方では当たり前すぎて気にもならない事なのかも知れません。そして、あくまで2号の環境と作業方法での結果であることは加味したうえで参考にしてください。
塗装における自問自答 Q&A
クリアや磨きを失敗してもガラスコートを重ね塗りすればカバーできる?
出来ません!!ガラスコート自体、1000分の3ミリ程度と言われているごく薄い皮膜です。塗装・磨きの失敗はその数倍~数十倍の単位ですから、コーティングで埋めようとするのは無理があります。というか、無理でした(笑)。ただし、少しでも艶を出したいというのであれば、効果ゼロとは言いません。
※塗装&磨きが上手くいかなくてもガラスコート等で誤魔化せないかと考えましたが焼け石に水でした。逆に細い線等であれば、その傷を埋める形でガラスコートが効果を発する事はあるようです。
ベースカラー塗装後、クリア前に中研ぎした事は?
あります。失敗しました(笑)。きっとソリッドカラー(非パール・メタリック)なら効果も有るかも知れません。しかし、複雑な色味の塗料ではクリア前に磨く事で周囲との色味の差異が際立ってしまいました。その場合、その上から再度ベースカラーを吹けば持ち直します(下地は出来てる状態なので)。
ホビー用エアブラシはDIY板金に使えるか?
全然使えます。2号としては小面積ならスプレー缶より断然お勧めしたいと思いますし、初めての塗装はエアブラシでした(笑)。難点としては、吹き付けられる絶対量が少ないので作業に時間が掛かる事と吹き付け可能面が小さい事による色むら。そして、作業者がプラモデルと近い感覚で塗装してしまうので、絶対的に塗料の厚さが薄くなると思うので注意が必要。経験では、塗りああがり直後は、良い出来だと思いましたが1~2年で変色が分かるほどでした。ちなみに、その時は、タッチアップペンの塗料をエアブラシに移して薄め液で薄めてエアブラシ用に濃度調節したものを使用。
※スプレー缶がダメとは思っていません。ただ、ガンやエアブラシより難しいです。エアブラシとガンはエアーのみ吹き出しと塗料の吹き出しを分けて操作できる「ダブルアクション」が主流で、エアーの強さと塗料の吹き出し量を別々に設定する事で細かな調整が可能な扱いやすさがあります。半面、スプレー缶はプッシュと同時に塗料も噴き出してしまう点や連続使用によるガス圧の低下などのデメリットがあるため、広範囲の塗装では難しさが増します。ドア一枚に缶二本のコストもばかになりません。
下地作りが塗装に影響(失敗)したと感じたのはどんな時?
塗装後にペーパーの跡がくっきり確認できた時です。初めてバックドア全面を塗装した時の事ですがひどい物でした。『ほんの少しくらいスジが残ってもベースカラーとクリア塗装できっと見えなくなるハズ!』なんて思ってましたが際立つだけでした。この時は、水で濡らすと見えなくなる程度のスジでしたが駄目でした。下地作りの時点で目視して明らかにスジが確認できる状態なら丁寧に目消ししてから塗装するしかありません。