10月の家庭菜園『今から種まき可能な野菜はなに?』

秋風が心地よい10月は、家庭菜園にとって実り多き季節の始まりです。
夏の暑さが和らぎ、病害虫の活動も落ち着いてくるこの時期は、種まきや苗の植え付けに最適なタイミング。短期間で収穫できる葉物野菜から、冬を越して来春に収穫するじっくりタイプの野菜まで、様々な種類の栽培にチャレンジできます。
「家庭菜園は初めてで、何から始めたらいいかわからない…」そんな方もご安心ください。10月は比較的育てやすい野菜が多く、苗から始める定植は特に初心者さんにおすすめです。今回は、10月に種まきまたは定植が推奨される野菜を厳選し、それぞれの栽培期間や押さえておきたいポイント、そしてちょっとした注意点まで、家庭菜園プロの視点から詳しく解説します。秋の恵みを自分の手で育てる喜びを、ぜひ体験してみませんか?
10月に種蒔き・植え付けを行う野菜一覧
種蒔き時期・植え付け時期の一覧は、関東周辺の一般的な平地を基準に表示していますので、お住いの地域や環境(標高や日照時間等)の地域の気候差を加味してお考え下さい。
タネまきできる野菜
- コマツナ/収穫までの期間:約6~7週間/栽培難易度 ★★☆☆☆
10月の種蒔きが最適なコマツナは、水はけが良く平らな畑を選び、アブラナ科野菜との連作は避けましょう。1箇所に4~5粒を点まきし、土を軽く鎮圧します。発芽後は本葉3枚までに1本に間引き、根を傷つけないようハサミで切り取ります。追肥は不要ですが、害虫対策には防虫ネットが有効です。 - ハクサイ/収穫までの期間:約6~7週間(早生)/栽培難易度 ★★★☆☆
他のアブラナ科野菜との連作を避け、畑を平らに整えてから種まきを。1箇所に4~5粒点まきし、土を軽く鎮圧します。発芽したら本葉3枚までに1本立ちに間引き、根を傷つけないようハサミで切り取ります。追肥は不要です。小型の早生品種であれば10月上旬まで播種可能ですが、結球させる場合は9月上旬までの播種が理想的です。 - ホウレンソウ/収穫までの期間:約6~11週間/栽培難易度 ★★☆☆☆
短期間で収穫できるホウレンソウは、特に硝酸態窒素を好む多肥性の野菜です。過湿は軟腐病の原因になるため、株元に水が溜まらないよう注意が必要です。害虫のキスジノミハムシ対策には、防虫ネットによるトンネル被覆が効果的。播種時期が早すぎると春先に花芽が上がることがあるので、注意してください。 - タマネギ/収穫までの期間:約28~36週間(翌年5月~7月)/栽培難易度 ★★★☆☆
播種時期が早すぎると抽苔や分球を、遅すぎると越冬率の低下や球の肥大不良を招くため、適期を守りましょう。発芽を揃えるため、乾燥防止と豪雨対策として籾殻や切りワラを敷き、適度に灌水します。本葉2枚までに苗の間隔を10mm程度に間引き、中耕と軽い土寄せで倒伏を防ぎます。窒素とリン酸が特に重要です。 - ニンニク/収穫までの期間:約32~36週間(翌年6月~7月)/栽培難易度 ★★★★☆
9月下旬~10月中旬が播種適期です。排水が良く肥沃な深耕した畑を選び、連作は避けましょう。春先の乾燥による葉先枯れを防ぐため、完熟堆肥を十分施用し深耕します。マルチ栽培が推奨され、植え付け時には種球消毒を必ず実施してください。 - チンゲンサイ/収穫までの期間:約6~9週間/栽培難易度 ★★☆☆☆
土壌表面が乾いたら灌水し、根腐れや葉の黄変を防ぐため、大雨時は排水対策をしっかりと行います。高温多湿時に白さび病や萎黄病に注意し、コナガやキスジノミハムシなどの害虫にも対策が必要です。収穫は株元の土をよく落とし、鮮度保持のため、しおれが激しい場合は午前中に行い10℃前後で保存します。 - ニンジン/収穫までの期間:約14~17週間/栽培難易度 ★★★☆☆
タネは硬いので、一晩水に浸して催芽処理をすると発芽が揃いやすくなります。発芽までは乾燥を防ぐため適度な水分を保ち、防虫ネットで保護すると良いでしょう。本葉3枚で1本に間引き、本葉5枚頃の2回目の間引き時には株元に軽く土寄せをして、根の肩部の緑化を防ぎます。 - ゴボウ/収穫までの期間:約14~23週間/栽培難易度 ★★★☆☆
連作を嫌うため、5年以上ゴボウを栽培していない畑を選び、耕土が深く水はけの良い場所を選びます。タネは一晩水に浸して催芽処理すると発芽が揃いやすくなります。播種後1~2週間は乾燥させないよう適度な水分を保ち、防虫ネットで保護すると良いでしょう。本葉3枚の頃に1本に間引きます。 - レタス/収穫までの期間:約6~10週間(非結球レタス)、約9~10週間(結球レタス)/栽培難易度 ★★☆☆☆ 発芽適温は15~20℃で、25℃以上では休眠するため、高温期は涼しい場所での管理や遮光が必要です。好光性種子なので覆土は薄くし、乾燥させないよう注意します。根が浅いため、マルチ栽培で急激な水分や肥料の変化を防ぎます。玉レタスは硬くなりすぎないよう、8割結球を目安に収穫します。
- サヤエンドウ/収穫までの期間:約24~32週間(翌年4月~6月)/栽培難易度 ★★★☆☆
- 播種後、1穴に3~4粒まき、深さ2~3cmに覆土します。株元が凍らないようにワラや籾殻を敷いて防寒対策をします。越冬後、主枝が3~5本になるように間引き、通風と採光を確保します。約2mの支柱とネットを設置し、つるを誘引します。結莢期の乾燥は収量低下につながるため、土が乾燥したら適宜灌水します。
苗植えする野菜
- ネギ/収穫までの期間:約12~20週間(翌年1月~3月)/栽培難易度 ★★★☆☆
定植後、株元に粒状殺虫剤を施用し、乾燥防止に稲ワラなどを敷きます。土寄せは3~4回に分け、葉の分岐点の下までに留めます。最後の土寄せは、葉身と葉鞘部の分岐点まで行い、軟白長30cm以上を目安に、抽苔前に収穫します。過剰な土寄せは軟白部が細くなることがあるため、生育状況を見て調整しましょう。 - タマネギ/収穫までの期間:約28~36週間(翌年5月~7月)/栽培難易度 ★★★☆☆
育苗期間は約55日前後とし、適期に定植します。低温期は養分吸収が少ないため、年内の生育を抑え、1月から肥効を高めます。追肥は3月上旬までに終え、球の肥大期(4月中旬以降)に窒素、カリ、水分が不足しないよう注意します。収穫は茎葉が倒れて葉の色が変わった晴天の日を選びましょう。 - ブロッコリー/収穫までの期間:約4~16週間/栽培難易度 ★★★☆☆
本葉4枚程度の軸が太く腰の低い健苗を選び、夕方や曇りの日に植え付けます。定植後2~3日後には必ず灌水し、夕方の株元灌水が効果的です。台風や大雨が予想される場合は、排水対策と倒伏防止のため土寄せを行います。収穫が遅れると花蕾が黄色く変色し、つぼみが開くため、適期を見極めて収穫しましょう。 - カリフラワー/収穫までの期間:約4~16週間/栽培難易度 ★★★★☆
ブロッコリーと同様に、本葉4枚程度の健苗を夕方や曇りの日に植え付け、定植後にしっかりと灌水します。花芽原基の状態で発育が止まる性質があるため、花蕾の品質に影響が出ないよう、適切な温度管理と肥培管理が重要です。多肥は病害を招きやすいので注意が必要です。 - キャベツ/収穫までの期間:約4~20週間/栽培難易度 ★★★☆☆
連作すると根こぶ病などの土壌病害が発生しやすいため、注意が必要です。土壌pHを6.0~6.5に調整し、適切な施肥量を心がけ、施肥過多にならないよう注意します。畝高を10cm程度にし、軸が太く腰の低い苗を植え付け、定植後2~3日後には必ず灌水を行います。 - レタス/収穫までの期間:約4~12週間/栽培難易度 ★★☆☆☆
根が浅いため、急激な水分や肥料の変化を防ぐためマルチ栽培が推奨されます。秋まき栽培では地温抑制効果のある白黒ダブルマルチやシルバーマルチを使用すると、アブラムシの忌避効果も期待でき、抽苔や分球を防ぎます。老化苗の定植は避け、根鉢がしっかりできた苗を植え付けましょう。 - クサソテツ(コゴミ)/栽培時のポイント:多年生植物のため、収穫は翌年以降/栽培難易度 ★★★☆☆
葉が枯れ始める10月下旬以降に根株を採取し、掘り取り後すぐに定植します。半日陰で夜間冷涼、昼夜の温度差が大きい場所が適地です。耕土が深く有機質に富み、排水性と保水性のある肥沃な土壌を選びます。
10月の野菜栽培Point
当然、それぞれの野菜に適した土壌環境や栽培方法は異なります。また、同じ野菜の種類でも品種・栽培方法(トンネル栽培・ハウス等)によって種蒔き時期は異なる場合がありますので、タネや苗の購入時によく確認する事をお勧めします。
10月は定番野菜が多く植えられる季節。苗で販売されている物も多く手に入れやすいので、経験の浅い人でも安心です。そして、翌年の収穫が楽しみなタマネギやニンニクなど、たくさんの収穫の喜びが待っています。秋から冬にかけての家庭菜園は、じっくりと野菜を育て、春の収穫を心待ちにする楽しみがあります。ぜひ、この時期に家庭菜園を始めて、採れたての新鮮な野菜の美味しさを味わってくださいね。。